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クルーズ業界を読み解く3つのポイント

2013年から景気の回復に伴いレジャーとしてのクルーズが新聞やテレビなどで取り上げられるようになってきました。

クルーズ業界を3つのポイントから読み解いてみましょう。

 

①日本のクルーズ業界の現状

日本を運行する船舶の乗船人数については国土交通省が毎年4月の下旬(25日頃)に詳細データを発表しています。それによると

(1)2013年のクルーズ旅行利用者が、過去最高の23.8万人(2012年は21.7万人 前年比9.9%(2.1万人)の増加)となった。
 
(2)外国船クルーズ乗客数も2013年6月に「ふじ丸」が運行を停止したものの、外国船社による日本発着外航クルーズが本格化したことから、過去最高の13.8万人(2012年は12.0万人 前年比14.8%(1.8万人)の増加)となった。
 
(3)外国船社が行う短期(3~7泊程度)の外航クルーズを利用する者が増えたことから、外航クルーズの平均泊数が、9.3泊から7.4泊(1.9泊減)と短くなった。

(4)今回は、日本発着の外航クルーズを利用する外国人数について、初めて調査が行われた。日本発着の外航クルーズを利用する外国人数は6千人となった。

(5)一方、日本発着の外航旅客定期航路を利用した日本人乗客数は、円安等の影響により、前年比45%減の18.5万人になった。

 
②世界と比べると
 

日本のクルーズ人口は過去最高になったとはいうものの、総人口の比率からするとたったの0.2%にすぎません。
世界で最もクルーズ人口が多いのはアメリカ・カナダ(北米)で、クルーズ人口は約1,170万人(総人口の3.3%)とその乗船人口は圧倒的です。
その次に続くのは欧州で、イギリスでは 170万人(総人口の2.5%)、ドイツは150万人(総人口の約1.9%)と、人口比率でみると日本の10倍以上の比率となっています。


日本でクルーズが流行るには今後、日本でクルーズが庶民のレジャーとなり、仮に日本が欧州並みの1%まで乗船人数が増えれば100万人の市場になります。そうなれば、更にクルーズ事業に乗り出す会社も増え、価格競争が起きてくればもっともっと庶民にも手が届きやすいレジャーとなります。そのためには、まず日本人の休日の取り方に変化が必要です。クルーズにはどうしても数日間の休みが必要。中期の休みがとれるようような社会の仕組みが出来てくると、クルーズにも足を運びやすくなります。
 
 
③投資の観点から
 
日本でクルーズ事業を行っている会社は飛鳥を運行する郵船クルーズ、これは日本郵船(証券コード 9101)の子会社です。
にっぽん丸を運行するのは、商船三井客船株式会社で、これは商船三井(証券コード 9104 )のグループ会社です。
株価へのインパクトを考えてみましょう。
日本郵船の2013年度の業績を見てみると売上高は2兆2,372億円。このうち、郵船クルーズやCrystal Cruise社からの売上で452億円と約2%ほどの影響しかないことが分かります。経常利益率も全体の1.2%程度です。すなわちクルーズ事業が今人気!などと騒がれたからといって、大きく日本郵船や商船三井の株価に影響を与えることは少ないと考えられます。
 
 
参考
国土交通省がデータを公表しています。