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「水辺ビジネス」を読み解く3つのポイント(日経MJ 20140915 月の記事から)

水辺ビジネスとは川沿いや河川敷で行うビジネスのこと。川下りなどの川を利用したアクティビティだけでなく、最近では飲食店など自然の間近での心地よさを売りにするビジネスも増えてきました。これには、2011年度から国による規制緩和があったことが上げられます。

水辺ビジネスを読み解く3つのポイント!

 
①メリットとデメリットは?
水辺でビジネス(飲食店)をすることのメリットとしては集客効果の高さが上げられます。水の流れを横目に、食事や休息を楽しむことを好む人は多いでしょう。デートなどに使用されることでも高い集客効果を見込めます。日常とは違う雰囲気を味わいたい人に人気です。
デメリットは、天候に左右されやすいこと。大雨などの悪天候時では川沿いを避ける人が増えます。また、商業地という認識がまだ浸透していないためにメリットである高い集客効果を得るためには店を認知させる必要性があり、繁盛店にするためには経営者の手腕が必要になってきます。
 
 
②具体例からの成功のカギを読み解く
東京都台東区の隅田川沿いに、7階立ての「MIRROR(ミラー)」があります。運営するのは全国でカフェ、スウィーツ店など約46店舗(2014年9月現在)営むバルニバービ食とアートを創造する複合商業施設としてオープン。オープンは2011年4月で築40年の倉庫(約2000㎡)を約5億円で購入して、2億円かけてリノベーション。6フロアにビストロ料理やバーなど3タイプの店が入っており、1日の集客はおよそ600名。年間売上は4億円。
 
社長が出店を踏み切ったポイントは以下の2つが期待できるからとのこと。
「水辺の癒しの効果」
「ロケーションをずっと確保できること」(目の前にスカイツリーが見える)
 
成功のカギは以下の3つ
(1)ハード面を水辺ビジネスに合わせて作り込んだこと
川を面にした壁は全面ガラス張りに、大きなオープンテラス。ビニールカーテンとヒーターを用意し、大雨の日以外はいつでも使える状況を作り上げたようです。
 
(2)ソフト面でお客に日常とのギャップを提供していること
内装や家具にはアジアのリゾートや北欧調の家具で、下町の風情とのギャップを出してお客様にインパクトを与えています。
 
(3)周辺と安全への気配りの徹底
以前は静かだった川沿いにお店を出す場合に最も気をつけなければならないのは騒音リスク。とくにこの店ではオープンテラスの形式にしているために、大きな声は近所に響き渡ってしまいます。外での営業は23時までとし、張り紙や直接の声がけでお客様にも配慮して頂いている様です。
また、突然の暴風などで設備が壊れてしまうことなども考えた設計や、壊れた設備を買い替えるリスクも考えた収支計算を行っているようです。
 
このようにして水辺ビジネスを成功させたバルニバービのグループ売上は以下のように成長が加速しているようです。
30億3000万円 (2011年7月期・単体)
36億4000万円 (2012年7月期・単体)
51億8000万円 (2013年7月期・連結)
 
 
③水辺ビジネスと聞いて今後どんなポイントを見ておけばよいか?
 
飲食店を出す場合は上記成功のカギの中でも特に③の周辺への気配りの徹底ができているかはチェックすべきでしょう。
 
また、規制緩和の動きはますます加速していき、大手の会社も商業施設に乗り出してくることは間違いありません。
水辺に資産を持っている会社の価値は上がることが予想されます。
 
住友倉庫(証券コード 9303)は実際に道頓堀沿いに「南堀江キャナルテラス」オープンして約10億円を稼ぎだすとのこと。
水辺ビジネスが加速していると報じられた時などは、水辺に資産をもつ企業の株をチェックしてみることをオススメします。
 
 
ちなみに
河川敷の大半は公有地。これまでは防災の面から民間企業が営利目的で利用するのは限定されていたのですが、2011年度から全国で可能になりました。規制緩和の流れを作ったのは大阪。5年ほど前から官民が連携して水辺の活用を推進。北浜テラスはその走りです。外国人や若者の集客に成功し、2013年度の利用客は8店舗で約6万人と2012年度に比べ倍増したようです。