カテゴリー別アーカイブ: 決算情報を読み解く!

リブセンスの現状と今後の動きを読み解く3つのポイント!

リブセンスという企業をご存知でしょうか?採用されたら報酬を支払う求人サイトの仕組みを世に広めた企業です。「ジョブセンス」というサービス名を聞けばご存知の方も多いはず。また、社長の村上太一氏は史上最年少25歳での株式上場を果たしたことでも有名です。

①リブセンスの現状を読み解く!
リブセンスは成果報酬の求人サイトという企業にも負担の少ないビジネスモデルを確立し2006年の創業以来、増収増益を続けていました。しかし、景気の回復に伴い深刻な人手不足の中でマッチングを促す電話サービスなどの施策がコスト増となって利益を圧迫し、2014年8月14日に発表した決算では上場以来初めてとなる業績の下方修正を行っています。業績予想の修正額も売上高予想を66億円から42億円へ、営業利益予想も19億円から5億円へと大きなものでした。しかし5年後の18年12月期には売上高400億円、営業利益を現状の8倍の120億を達成するという強気の目標は変更しませんでした。

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②リブセンスの今後を読み解く!
リブセンスの成果報酬型の求人は不況の時にはマッチしていたが、 人手不足の状況ではマッチしないのではないのか?そういった声も多くでているようです。これらの声に対し社長の村上氏は「ビジネスモデルが陳腐化したわけではなく進化が必要」と述べて、以下のような施策を考えているようです。

(1)今までのシンプルな成功報酬から、職種毎にやり方を変更し、企業のニーズに対応していく
(2)人員を大量採用したい企業に対して、求職者に個別にメールで応募を促すサービスを導入
(3)採用が決まった人へのお祝い金をポイントに変更し、さらに友人を紹介すればポイントアップさせる
(4)ウェブプロモーションを強化
(5)海外展開のスタート

個人的には上記の施策が、大きく成約数をあげる要因としては具体性にかけて弱い印象を受けています。実際に、お金をたくさんかけてでもいい人材をとりたいという企業が増えて来ています。そういった企業への対策が弱いと感じられるからです。ジョブセンスだからこそ、安くていい人が採用できる。そんな施策を打ち出してくれると私は信じています。

③リブセンスの株価を読み解く!
リブセンスの株価は上場来右肩上がりで上昇。上場以来、1年半で株価は10倍以上になっていました。しかし、2013年7月の3255をピークに株価は4分の1程度(2014年9月29日現在 866円)にまで減少しています。あきらかに今期の成長の鈍化を反映した株価の動きをしています。やはり、現状の成長施策が弱いと感じている投資家は多いのではないでしょうか。中期経営計画ではあと4年半で営業利益8倍を予想しています。もし、この業績を信じることができるような施策が打ち出されれば株価は一気に回復し、上昇に転ずるするのではないでしょうか。

個人的にはリブセンスのように若く素晴らしい方が設立された企業を応援したいと思っています。リブセンスの更なる成長は若手起業家を刺激するものであり、日本の今後の成長にも繋がるものと私は信じています。

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ソニーの下方修正を読み解く3つのポイント!

ソニー(証券コード 6758)が9月17日の午後3時(株式市場がしまった後)に、2015年3月期の通期業績の下方修正を出しました。明日からの株価は厳しいものが予想されますが、このニュースに関して3つのポイントから読み解いてみたいと思います。

→ソニー株式会社からのリリースはこちら

①営業利益の予想を1400億円の黒字から400億円の赤字に下方修正

営業利益とは会社の本業からの利益を表します。ソニーは今期(2015年3月終了時点で)1400億円の黒字になると会社の予想を出していましたが、この予想を黒字から一転、400億円の赤字になると発表したのです。額も大きかったので、これにはかなり驚きました。

理由はスマートフォンの販売が世界的に振るわなかったこと。中国や新興国市場において、低価格のスマホに押されて中級機種の販売が低迷したことが大きな理由のようです。

これを受けて、モバイル端末事業の人員の15%にあたる1000人の人員削減を発表しました。

しかし、実はこの兆候はしっかりと会社の発表を聞いている人は感じ取っていた人もいたかもしれません。2014年7月31日にソニーが発表した決算短信をご覧下さい。1ページ目の通期業績予想については変更なしとあるのですが、12ページの各セグメント毎の営業利益の予測をみると、モバイル事業の予想を下げており、代わりに他の事業の予想を引き上げることで調整していることがわかります。ここから、調子の悪さを感じ取っていた人は敏感にモバイルの不調に注目していたことと思います。

②1958年に東証に上場して以来初めての無配

これは大きな出来事だと考えられます。実はソニーは過去に赤字に陥った際にも株主を尊重して配当を続けてきていました。しかし今回は財務体質の立て直しを優先するため、応援してくれている株主にお金を払いませんと宣言したわけです。それほどまでに厳しい状況と見てよいのではないでしょうか。

③9月18日からの株価について

大きな下方修正だけでなく、配当の無配はかなりのインパクトがあると思います。無配とは株を保有していることによる配当での利益が見込めないということです。これまでソニーを応援していた投資家も、業績の回復が見込めるまでは一度株を手放す方が懸命だと考られます。そのため業績の安定回復が見えるまでは株価は低迷するのではないかと私は見ています。ソニーは伝統と信頼のある会社でソニー株を好む人も多くいると思います。業績回復の兆しが見える材料(ニュース)がでれば株を買い直す人もいると思いますので、その時を逃さないようにチェックしておくことがポイントかと思われます。