本サイトのコラムをご覧頂いている方は、株や為替の動向などを知るためには、様々な指標から分析することが重要だということが分かって頂けていると思います。例えば米国雇用統計が発表される時に、非農業部門雇用者数が増えることが、別の指標から前もって推測できる場合には、事前にその予測で動くであろう方向に為替のポジションを持っておくことが有用となるわけです。経済全体でも同じことが言えます。景気の動向を事前に分析するための指標を景気先行指数といいますが、この指標について3つのポイントから読み解いてみたいと思います。
英語名称:Leading Economic Index
出所:カンファレンス・ボード(Conference Board: CB)
サイト:http://www.conference-board.org/data/bcicountry.cfm?cid=1
発表日時:毎月第3週目 10:00 E.T. (日本時間 夏時間(4-10月)23:00、冬時間(11-3月)24:00)
注目度:★★☆☆☆
①景気先行指数とは
景気先行指数(Leading Economic Indicators: LEI)とは、複数の経済指標の変化から算出されたCI(Composite Index)のこと。景気の動向の動きの速度や程度を示唆する指標には以下の3つがあり、景気の転換点の判断に用いられます。
(1) 景気先行指数(Leading Economic Index)→景気よりも先に指数に現れる
(2) 景気一致指数(Current Economic Index) →景気と同じタイミングで指数に現れる
(3) 景気遅行指数(Lagging Economic Index)→景気に遅れて指数に現れる
②どこで確認する?
米国のカンファレンス・ボードが発表するデータですので英語のHPを見て頂く必要があります。難しい方はみんなの外為などで確認するといいでしょう。 (←2013年5月で更新が止まっていました。)
しかし、素早く正確な情報を得るには実際のHPを確認するのが一番です。コチラをご覧頂くと、以下のようなカンファレンス・ボードの最新のニュースリリースにリンクさせて頂いています。この中の赤い四角で囲った部分をご覧下さい。
The Conference Board Leading Economic Index (LEI) for the U.S. increased 0.2 percent in August to 103.8 (2004 = 100), following a 1.1 percent increase in July.
とあります。下線を引いたこの最初の英語に注目しましょう。 increasedは「増えた」という意味です。つまり、8月は前月より0.2%増えて指数が103.8になりました。(2004年を100とした時に)と読み取る事が出来るというわけです。
③どのような指数から成り立っているのか?
景気先行指数は10、景気一致指数は4つ、景気遅行指数は7つの指標から構成されています。発表時点でまだ公表されていないデータは推計値を使って算出されますので、毎月過去の情報が修正されていきます。まずは最初に発表される、速報値を把握すればよいでしょう。
ちなみに、景気先行指数は景気の山に対して9-10ヶ月、谷に対して4ヶ月の先行性があると知られています。
以下それぞれの指標の構成要素を紹介します。
景気先行指数を算出するための10指標
(1) 週平均労働時間(製造業)
(2) 失業保険新規申請件数(平均)
(3) 製造業受注(消費材と原材料)
(4) 製造業受注(非国防資本財)
(5) 入荷遅延指数
(6) 建設許可件数
(7) 株価(S&P 500 普通株指数)
(8) マネーサプライ(M2)
(9) 長期金利差(10年国債 – FF金利)
(10)消費者信頼感期待指数
景気一致指数を算出すための4指標
(1) 非農業部門雇用者数
(2) 移転所得を除く個人所得
(3) 鉱工業生産
(4) 製造業および商業の売上高
景気遅行指数を算出するための7指標
(1) 平均失業期間
(2) 在庫/販売比率(製造業と商業)
(3) 単位労働コスト(製造業)
(4) 平均プライム・レート
(5) 商工業貸出
(6) 消費者信用 / 個人所得(%)
(7) CPI(サービス)