米・ISM製造業指数は製造業者への調査を基に作成される景況感指数で、景気先行指標として注目度が高い指標になります。このISM製造業指数をを3つのポイントから読み解いてみたいと思います。
英語名称:ISM Manufacturing Report on Business
出所:米国サプライマネジメント協会(ISM:Institute for Supply Management)
サイト:http://www.ism.ws/ismreport/
発表日時:毎月第1営業日 10:00 E.T. (日本時間 夏時間(4-10月)23:00、冬時間(11-3月)24:00)
注目度:★★★★☆
①ISM製造業指数とは?
ISM製造業指数は、製造業者の購買担当・供給担当者に対する調査を基に作成される、製造業の景況感指数です。毎月、最初に発表される景気先行指標であるため、非常に注目度の高い指標となります。1929年から米国は大恐慌に見舞われていました。当時のフーヴァー大統領が米国経済の現状を事前に把握するために、1931年にISMに指標の作成を依頼したのが始まりです。現在では、ユーロ圏、中国など20を超える国で、ISM製造業指数と同じ方法でPMI指数(購買担当者指数)が作成されています。
調査方法は、毎月18業種の300を超える会社の購買担当及び、供給担当者に以下の10項目について前月比で「良くなっている」「同じ」「悪くなっている」の3つ選択肢から選ばせています。その中で、(1)〜(5)の5項目のDI(Diffusion Index)を加重平均して算出しているのがISM製造業指数です。(加重平均といっても20%ずつなので、単純平均ということになります)日銀短観と同じような指数ですが、日銀短観はゼロを分岐点としてプラス、マイナスで表すのに対して、ISM製造業指数は50を分岐点に拡大・縮小を表しています。
調査項目は以下。
(1) 新規受注(New Orders)
(2) 生産(Production)
(3) 雇用(Employment)
(4) 入荷の遅延(Supplier Deliveries)
(5) 在庫水準 (Inventories)
(6) 顧客在庫(Customers’ Inventories)
(7) 価格(Prices)
(8) 受注残(Backlog of Orders)
(9) 輸出(Exports)
(10)輸入(Imports)
②どこで見れる?
ISM製造業指数は米国のデータなので英語での発表になります。英語が苦手という方はYahoo Financeなどで確認するとよいでしょう。(コチラをご確認下さい)
しかし、いち早く情報を収集するには、ISMのHPを確認するのが一番です。コチラをクリックすると以下のISMのHPにリンクします。この中で赤の四角で囲んだ「Latest Manufacturing ROB」をクリックしましょう。
以下のような最新のレポートを確認することができます。このPMI at 56.6%というのがこのISM指数のことです。画面をスクロールしていくと各項目の景況感もみることが出来るので、気になる人は参考にされて下さい。
③ISM製造業指数のどこに注目するのか?
(1) ISM製造業指数は製造業生産や実質GDP成長率との関連性が高い指標になります。ISMが発表している情報では、50を上回るISM指数は製造業生産の拡大、42.5を上回るISM指数は実質GDPの拡大を示唆しているようです。
(2) 今までのコラムで雇用統計について紹介しました。個別指数では、非常に重要なこの指標と連動が高いEmploymentが重要になります。
(3) また、この指標の更に先行指標となる数字がこの個別項目から読み取ることができます。それは「New Orders」-「Inventories」です。この数値が大きくなるということは、新しく受注している数が増え、在庫がドンドン減っているということを意味するので、経済活動が活発になっているということが分かるのです。