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フィラデルフィア連銀指数を読み解く3つのポイント!

フィラデルフィア連銀指数は、フィラデルフィア連邦準備銀行が発表する景況感指数です。フィラデルフィア連邦準備銀行(Federal Reserve Bank of Philadelphia)は、アメリカ合衆国に12ある連邦準備銀行の一つ。連邦準備銀行は市中銀行の監督と規制など、公開市場操作以外の連邦準備制度の業務を行い、また連邦準備券(ドル紙幣)の発行を行っていることからも、信頼度が高い情報を発信しており、市場の注目度が高い指標です。この指標を3つのポイントから読み解いてみたいと思います。

英語名称:Business Outlook Survey
出所:フィラデルフィア連邦準備銀行(Federal Reserve Bank of Philadelphia)
サイト:https://www.philadelphiafed.org/research-and-data/regional-economy/
発表日時:毎月第3木曜日 10:00 E.T. 日本時間 夏時間(4-10月)23:00、冬時間(11-3月)24:00)
注目度:★★★☆☆

①フィラデルフィア連銀指数とは
フィラデルフィア連銀指数とは、フィラデルフィア連銀地区内(ペンシルバニア州東部、ニュージャージー州南部、デラウェア州)の大手製造業者の幹部に対して調査を行い、景況感を表した指標です。1968年5月に調査が開始されているため、長期間のデータを把握することができることから注目度が高く、分析しやすい指標として用いられています。

②どこで確認できる?
フィラデルフィア連銀指数は米国のデータなので英語での発表になります。英語が苦手という方はYahoo Financeなどで確認するとよいでしょう。(コチラをご確認下さい) 

しかし、いち早く情報を収集するには、フィラデルフィア連銀のHPを確認するのが一番です。コチラをクリックすると以下のページにリンクしています。このページには最新年のニュースリリースがアップされていますので、そちらをクリックしましょう。

Phi fed

基本的には第2パラグラフに数字が記載されています。以下の赤い四角で囲んだ英語のうち「 to 22.5 this month」という記載があります。この数値が今月のフィラデルフィア連銀指数となります。

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③フィラデルフィア連銀指数をFXにどう生かす?
まず、フィラデルフィア連銀指数の見方ですが、ISM製造業指数との違いとして、拡大・縮小の分岐点が0であることを知っておかなければいけません。基本的には前の月よりも数値が上昇すると、景気の好調を理由にドルが買われる(円安になる)方向に動くと言われています。基本的に製造業の景況感指数は以下の流れで把握することが有用とされています。

エンパイア・ステート製造業指数(15日に発表)で製造業の景況感の方向性を確認

フィラデルフィア連銀指数で方向性の正しさを再確認

シカゴ景況感指数でISM製造業指数の数値を予測
 
ISM製造業指数の発表で数値確認

このフィラデルフィア連銀指数は、ISM指数の計算方法で算出することも可能です。その数値はISM指数とかなり連動して動くことが分かっています。興味がある方はコメントを頂ければ算出して執筆させて頂きます。

シカゴ景況感指数を読み解く3つのポイント!

以前のコラムでISM製造業指数について説明致しましたが、ISMは各地に支部があり、地域毎の景況感指数を発表しています。なかでも、シカゴ支部はISM製造業指数が発表される前日に景況感を発表するため、注目度の高い指数にとなっています。以下の3つのポイントから読み解いてみたいと思います。

英語名称:Chicago Business Barometer
出所:ISMシカゴ支部(ISM-Chicago)
サイト:https://www.ism-chicago.org/
発表日時:毎月最終営業日 8:45 E.T. (日本時間 夏時間(4-10月)21:45、冬時間(11-3月)22:45)
注目度:★★★☆☆

①シカゴ景況感指数とは?
シカゴ景況感指数とは、米国中西部の製造業における景況感を表した指数です。シカゴはニューヨーク、ロサンゼルスに次ぐ第3の都市であり、ISM製造業指数の前日に発表されることから、ISM製造業指数の動きを知るために注目が集まる指標です。また、米国の中西部というのは、自動車産業が盛んなことで知られており、自動車関連企業の株を持っている人にも、注目される指標となります。

②どこで見れる?
シカゴ景況感指数は米国のデータなので英語での発表になります。英語が苦手という方はYahoo Financeなどで確認するとよいでしょう。(コチラをご確認下さい) 

しかし、いち早く情報を収集するには、ISMシカゴ支部のHPを確認するのが一番です。コチラをクリックすると以下のISMシカゴのHPにリンクします。画面を下にスクロールさせるとChicago Business Barometerに関する記事があります。その中の赤の四角で囲んだ「View the recent press release」をクリックしましょう。最新のデータにアクセスすることが出来ます。

Chicago PMI 1Chicago PMI

③前もって情報を入手して、FXに生かす!
発表日時について、ISMは以下のように発表しています。どうやら、有料会員になると一般の人よりも3分早くデータを入手できるようです。
Advance subscribers to the MNI Chicago Report are given access to the numbers at 9:42 a.m. Eastern time, 3 minutes prior to the official release at 9:45 a.m. Eastern time. The report is published on the last working day of each month. 

興味がある方はコチラにアクセスしてみてはいかがでしょうか?(この会員になると3分早く、アクセスできるのだと思いますが、実際にアクセスしたことがないので、自己責任でお願い致します。)

米・ISM非製造業指数を読み解く3つのポイント!

以前のコラムでISM製造業指数について説明致しましたが、ISMは非製造業についても指数を発表しています。製造業と同様に購買担当・供給担当者に対して調査を行い、月ごとに非製造業の景況感指数を発表しています。以下の3つのポイントから読み解いてみたいと思います。

英語名称:ISM Non-Manufacturing Report on Business
出所:米国サプライマネジメント協会(ISM:Institute for Supply Management)
サイト:http://www.ism.ws/ismreport/
発表日時:毎月第1営業日 10:00 E.T. (日本時間 夏時間(4-10月)23:00、冬時間(11-3月)24:00)
注目度:★★

①ISM非製造業指数とは
 ISM非製造業指数は、非製造業者の購買担当・供給担当者に対する調査を基に作成される、非製造業の景況感指数です。

調査方法は、毎月18業種の300を超える会社の購買担当及び、供給担当者に以下の10項目について前月比で「良くなっている」「同じ」「悪くなっている」の3つ選択肢から選ばせています。その中で、(1)、(2) 、(3)、(5)の4項目のDI(Diffusion Index)を平均して算出しているのがISM非製造業指数です。(ISM非製造業指数は50を分岐点に拡大・縮小を表しています。)

調査項目は以下。
(1) 事業活動・生産(Business Activity / Production)
(2) 新規受注(New Orders)
(3) 雇用(Employment)
(4) 入荷の遅延(Supplier Deliveries)
(5) 在庫水準 (Inventories)
(6) 価格(Prices)
(7) 受注残(Backlog of Orders) 
(8) 新規輸出受注(New Export Orders)
(9) 輸入(Imports) 
(10)在庫景況感(Inventory Sentiment) 

②どこで見れる?
ISM非製造業指数は米国のデータなので英語での発表になります。英語が苦手という方はYahoo Financeなどで確認するとよいでしょう。(コチラをご確認下さい) 

しかし、いち早く情報を収集するには、ISMのHPを確認するのが一番です。コチラをクリックすると以下のISMのHPにリンクします。この中で赤の四角で囲んだ「Latest Non-Manufacturing ROB」をクリックしましょう。

ISM NPMI 1

以下のような最新のレポートを確認することができます。このNMI at 59.6%というのがこのISM非製造業指数のことです。画面をスクロールしていくと各項目の景況感もみることが出来るので、気になる人は参考にされて下さい。

NMINon items

ISM非製造業指数のどこに注目するのか?
ISM非製造業指数も実質GDP成長率と連動性があるのもの、ISM製造業指数の方が相関が高い傾向にあります。そのため、米国株を持っている人が各業態の景況感を測るために用いるのがベストだと考えられます。

米・ISM製造業指数を読み解く3つのポイント!

米・ISM製造業指数は製造業者への調査を基に作成される景況感指数で、景気先行指標として注目度が高い指標になります。このISM製造業指数をを3つのポイントから読み解いてみたいと思います。

英語名称:ISM Manufacturing Report on Business
出所:米国サプライマネジメント協会(ISM:Institute for Supply Management)
サイト:http://www.ism.ws/ismreport/
発表日時:毎月第1営業日 10:00 E.T. (日本時間 夏時間(4-10月)23:00、冬時間(11-3月)24:00)
注目度:★★★★☆

①ISM製造業指数とは?
ISM製造業指数は、製造業者の購買担当・供給担当者に対する調査を基に作成される、製造業の景況感指数です。毎月、最初に発表される景気先行指標であるため、非常に注目度の高い指標となります。1929年から米国は大恐慌に見舞われていました。当時のフーヴァー大統領が米国経済の現状を事前に把握するために、1931年にISMに指標の作成を依頼したのが始まりです。現在では、ユーロ圏、中国など20を超える国で、ISM製造業指数と同じ方法でPMI指数(購買担当者指数)が作成されています。

調査方法は、毎月18業種の300を超える会社の購買担当及び、供給担当者に以下の10項目について前月比で「良くなっている」「同じ」「悪くなっている」の3つ選択肢から選ばせています。その中で、(1)〜(5)の5項目のDI(Diffusion Index)を加重平均して算出しているのがISM製造業指数です。(加重平均といっても20%ずつなので、単純平均ということになります)日銀短観と同じような指数ですが、日銀短観はゼロを分岐点としてプラス、マイナスで表すのに対して、ISM製造業指数は50を分岐点に拡大・縮小を表しています。

調査項目は以下。
(1) 新規受注(New Orders)
(2) 生産(Production)
(3) 雇用(Employment)
(4) 入荷の遅延(Supplier Deliveries)
(5) 在庫水準 (Inventories)
(6) 顧客在庫(Customers’ Inventories)
(7) 価格(Prices)
(8) 受注残(Backlog of Orders) 
(9) 輸出(Exports)
(10)輸入(Imports) 

②どこで見れる?
ISM製造業指数は米国のデータなので英語での発表になります。英語が苦手という方はYahoo Financeなどで確認するとよいでしょう。(コチラをご確認下さい) 

しかし、いち早く情報を収集するには、ISMのHPを確認するのが一番です。コチラをクリックすると以下のISMのHPにリンクします。この中で赤の四角で囲んだ「Latest Manufacturing ROB」をクリックしましょう。

ISM manu ROB

以下のような最新のレポートを確認することができます。このPMI at 56.6%というのがこのISM指数のことです。画面をスクロールしていくと各項目の景況感もみることが出来るので、気になる人は参考にされて下さい。

ISM 2ISP PMI 3

③ISM製造業指数のどこに注目するのか?

(1) ISM製造業指数は製造業生産や実質GDP成長率との関連性が高い指標になります。ISMが発表している情報では、50を上回るISM指数は製造業生産の拡大、42.5を上回るISM指数は実質GDPの拡大を示唆しているようです。

(2) 今までのコラムで雇用統計について紹介しました。個別指数では、非常に重要なこの指標と連動が高いEmploymentが重要になります。

(3) また、この指標の更に先行指標となる数字がこの個別項目から読み取ることができます。それは「New Orders」-「Inventories」です。この数値が大きくなるということは、新しく受注している数が増え、在庫がドンドン減っているということを意味するので、経済活動が活発になっているということが分かるのです。

 

人口ボーナスを国際比較で読み解く3つのポイント!

人口統計の説明で、人口ボーナスについて説明しました。もう一度説明すると、人口ボーナスとは、人口構成が「経済成長にプラスの影響を与える状態」のことであり、一般的に生産年齢人口(15〜64歳)とそれ以外の年齢の比率のことをいいます。

実際に、国連の人口統計データを用いて日本、米国、中国、イギリス(UK)の人口ボーナスを測定してみたいと思います。FXの分析や将来の予測のために参考になれば幸いです。

①人口ボーナス測定の方法
国連の人口推計データを用います。コチラをクリックして頂くと以下のような、国連経済社会局(United Nations Department of Economic and Social Affairs)の人口統部門のページにとびます。ここでは自分で指示したデータ種類(Select Variables)と国(Select Country)を選ぶことで、欲しいデータを閲覧・ダウンロードすることができます。赤で囲った部分をご覧下さい。人口ボーナスを調べるには年齢別の人口データが必要ですので、データの種類から「Population by five-year age group and sex」、国から「Japan、United States of  America、China、United Kingdom」の4カ国を選びます。

UN population data

ここから、Displayというボタンをクリックすると、以下のような5年毎の年代別人口のデータが現れます。

Population UN japan

このデータを用いてエクセルで15歳から64歳までのデータと、それ以外のデータの人数を比較することで人口ボーナスのデータを求めています。

②人口データを読み解く!

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③人口ボーナスデータを読み解く!
上述した人口データから算出される人口ボーナスは以下の通り。

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日本は戦後の高度経済成長期において、人口ボーナスが2倍をこえていたため、経済成長が加速しました。しかし、出生率の減少と高年齢化に伴い、人口ボーナスが急激に減少したことが分かります。2015年以降も、低い人口ボーナスに加え、更なる減少が予想されています。

米国は人口ボーナスがほとんど2倍を超えていないものの、安定して1.6-2.0倍を推移しています。また、将来的にも人口ボーナスの減少率は緩やかです。

米・人口統計データを読み解く3つのポイント!

経済活動は企業の活動やお金の動きによって成り立っています。しかし、その中心にいるのは人です。人が企業を運営し、お金を支払うからこそ、経済は循環していきます。人口の動向を知っておく事は多くのデータの基礎となるため、3つのポイントを読み解いてみたいと思います。

英語名称:Population
出所:センサス局(United States Census Bureau)
サイト:http://www.census.gov/
発表タイミング:10年に一度(都度予想は行っている)
注目度:★★★★☆

①米国・国勢調査とは
米国では憲法第1章第2条第3項(在日米国大使館サイトで確認できます)において、10年毎に人口算定をすることを義務づけています。これをもとにセンサス局では1790年以降、10年に一度国勢調査(センサス、Census)を実施しており、直近は2010年4月1日に第22回調査が実施されています。国勢調査は、名前、生年月日、性別だけでなく、人種や資産の保有状況などの調査も行っています。下院の各州への議席配分や直接税など、国勢調査をもとに算出されます。そのため、経済の分析の基礎になるためだけでなく、政治的にも非常に重要な意味を持ちます。

②米国の人口推移を読み解く!
米国の人口は独立当時(1790年)の392万にから10年前比で30%以上の成長を続けてきました。人口増加率が20%代に大きく落ち込んだ1870年は南北戦争の影響があったものと推測されます。その後10年で増加率は30%代に反発したものの、そこからは増加率が減少基調に転じています。1920年に人口は初めて1億人を突破。しかし、1940年には戦争による影響で増加率が大きく減少しました。戦後はベビーブームもあり、1960年に+20%近くまで回復したものの、それをピークに人口増加率は減少。2010年には3億人を初めて超えたものの、増加率は9.7%と10%を割り込みました。

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(出所:センサス局のデータを基に著者作成)

③国際比較、将来推計には国連の人口統計を用いる!
上述した米国センサス局のデータは、アメリカに特化したデータになります。しかし、国際的な人口比較を行う場合には、国連が発表している人口統計を用いることが多くあります。国連の人口統計は今後の世界の人口の推移を推計しているので将来的な分析をするのに有用です。

国連のデータにはコチラからアクセスできます。

将来的な予測として使われる人口統計データの一つに人口ボーナスという言葉があります。人口ボーナスとは、人口構成が「経済成長にプラスの影響を与える状態」のことであり、一般的に生産年齢人口(15〜64歳)とそれ以外の年齢の比率のことをいいます。この比率が2倍を超えると一般的に経済成長は加速すると言われています。将来予想を用いて今後の人口ボーナスを予測してみるのも有用と言えるでしょう。 

米・景気先行指数を読み解く3つのポイント!

本サイトのコラムをご覧頂いている方は、株や為替の動向などを知るためには、様々な指標から分析することが重要だということが分かって頂けていると思います。例えば米国雇用統計が発表される時に、非農業部門雇用者数が増えることが、別の指標から前もって推測できる場合には、事前にその予測で動くであろう方向に為替のポジションを持っておくことが有用となるわけです。経済全体でも同じことが言えます。景気の動向を事前に分析するための指標を景気先行指数といいますが、この指標について3つのポイントから読み解いてみたいと思います。

英語名称:Leading Economic Index
出所:カンファレンス・ボード(Conference Board: CB)
サイト:http://www.conference-board.org/data/bcicountry.cfm?cid=1
発表日時:毎月第3週目 10:00 E.T. (日本時間 夏時間(4-10月)23:00、冬時間(11-3月)24:00)
注目度:★★☆☆☆

①景気先行指数とは
景気先行指数(Leading Economic Indicators: LEI)とは、複数の経済指標の変化から算出されたCI(Composite Index)のこと。景気の動向の動きの速度や程度を示唆する指標には以下の3つがあり、景気の転換点の判断に用いられます。

(1) 景気先行指数(Leading Economic Index)→景気よりも先に指数に現れる
(2) 景気一致指数(Current Economic Index) →景気と同じタイミングで指数に現れる
(3) 景気遅行指数(Lagging Economic Index)→景気に遅れて指数に現れる

②どこで確認する?
米国のカンファレンス・ボードが発表するデータですので英語のHPを見て頂く必要があります。難しい方はみんなの外為などで確認するといいでしょう。 (←2013年5月で更新が止まっていました。)

しかし、素早く正確な情報を得るには実際のHPを確認するのが一番です。コチラをご覧頂くと、以下のようなカンファレンス・ボードの最新のニュースリリースにリンクさせて頂いています。この中の赤い四角で囲った部分をご覧下さい。

The Conference Board Leading Economic Index (LEI) for the U.S. increased 0.2 percent in August to 103.8 (2004 = 100), following a 1.1 percent increase in July.

とあります。下線を引いたこの最初の英語に注目しましょう。 increasedは「増えた」という意味です。つまり、8月は前月より0.2%増えて指数が103.8になりました。(2004年を100とした時に)と読み取る事が出来るというわけです。

Leading Economic Index

③どのような指数から成り立っているのか?
景気先行指数は10、景気一致指数は4つ、景気遅行指数は7つの指標から構成されています。発表時点でまだ公表されていないデータは推計値を使って算出されますので、毎月過去の情報が修正されていきます。まずは最初に発表される、速報値を把握すればよいでしょう。

ちなみに、景気先行指数は景気の山に対して9-10ヶ月、谷に対して4ヶ月の先行性があると知られています。

以下それぞれの指標の構成要素を紹介します。

景気先行指数を算出するための10指標
(1) 週平均労働時間(製造業)
(2) 失業保険新規申請件数(平均)
(3) 製造業受注(消費材と原材料)
(4) 製造業受注(非国防資本財)
(5) 入荷遅延指数
(6) 建設許可件数
(7) 株価(S&P 500 普通株指数)
(8) マネーサプライ(M2)
(9) 長期金利差(10年国債 – FF金利)
(10)消費者信頼感期待指数

景気一致指数を算出すための4指標
(1) 非農業部門雇用者数
(2) 移転所得を除く個人所得
(3) 鉱工業生産
(4) 製造業および商業の売上高

景気遅行指数を算出するための7指標
(1) 平均失業期間
(2) 在庫/販売比率(製造業と商業)
(3) 単位労働コスト(製造業)
(4) 平均プライム・レート
(5) 商工業貸出
(6) 消費者信用 / 個人所得(%)
(7) CPI(サービス) 

 

 

米・週次失業保険統計を読み解く3つのポイント!

労働省は毎週、失業保険新規申請件数、失業保険継続受給者数、延長給付(EB:Extended Benefits)、緊急失業給付(EUC:Emergency Unemployment Compensation)等の失業保険統計を発表しています。景気先行指数を構成する指標の一つでもあり、注目度の高い指標の一つです。この週次失業保険統計について3つのポイントから読み解いてみたいと思います。

英語名称:Unemployment Insurance Weekly Claims
出所:米国労働省(DOL:Department of Labor)
サイト:http://www.dol.gov/ui/data.pdf
発表日時:毎週木曜日 8:30 E.T. (日本時間 夏時間(4-10月)21:30、冬時間(11-3月)22:30)
注目度:★★★★☆

①失業保険とは
失業保険統計は全数調査であり信頼性が高く、毎週公表しているためにタイムリーな雇用情勢を把握することができます。中でも注目すべきは新規失業保険申請件数で、新しく申請された失業保険の件数を表します。景気後退局面では失業保険新規申請件数が増加する傾向にあります。失業保険継続受給者数とは失業保険を受給している人の総数であり、新規申請件数の1週間後に発表されます。

失業保険制度は州によって、受給条件(額、期間)が異なるが、通常の受給期間は最大で26週間。労働省は月次データとして、新規に給付された件数(First Payments)と最終週(26週目)に給付された件数も発表しています。

②どこで確認する?
米国労働省が発表するデータですので、英語のHPを見る必要があります。それでは分かりづらいという方はみんなの外為などでチェックされるのがよいでしょう。コチラからこの指標が表示されているページにリンクします。

しかし、いち早く自分の目で確認されたいという方はコチラをご確認下さい。米国労働省が毎週発表する最新のニュースリリースにリンクさせています。ページを開くと以下のような英語が出てきます。大概この本文の最初に「initial claims was 293,000」という赤丸で囲った表記があります。こちらが、新規申請件数の数になります。
 Insurance data1

文章は発表によって変わることがあります。その場合には、大概3ページ目に以下のような表が出てくるので、赤い四角で囲った数字を見て頂ければ、過去3週間分のデータを確認することができます。

Insurance data2

③注目するポイント
失業保険新規申請件数は、その速報性から最新の雇用動向を分析する上で重要な指標であると考えられています。以下のポイントを確認しておくことが重要です。

(1)失業保険統計はリアルタイムの数字として信頼性が高く、40万件が雇用創出の分岐点とも言われています。新規申請件数が40万件を下回る場合は、非農業部門雇用者数の増加を示唆します。

(2)3万件以上の増減があると、雇用情勢に変化があるとみる市場関係者が多いようです。

(3)特に、雇用統計調査がある週(12日を含む週)の週次失業保険統計は多くの注目を集めています。

(4)週毎に調査され発表される指標のため、祝日や長期休暇といった要因で申請件数が大きくぶれることがよくあるので、その場合には4週間の移動平均のデータをみることも有用です。(上述した表の中にある4-Wk Moving Averageというデータです。)